人工授精でも海外療養費制度が使えた話

日本の健康保険証は外国では使えません。でも、後日請求することで、医療費の還付を受け取ることができます。

これを「海外療養費制度」といいます。

駐在員で日本の本社から給与が支払われている場合等は、健康保険資格は継続しています。

海外療養費制度を人工授精の治療で使ってみたので、報告します!

海外療養費制度とは

日本の公的健康保険には「海外療養費制度」というものがあります。

やむを得ず海外で全額負担した医療費のうち、日本の健康保険適用になる費用に限り、給付を請求できる制度です。

例えば、日本で同じ治療を受けた時【30円(3割)自己負担70円保険適用】(=計100円の治療)とすると、この70円が「海外療養費」として払い戻しを受けられます。

ただし、海外で計100円より高額だったとしても、日本の制度に合わせて70円しか受け取れません。

また、計100円より安価でも、低い金額に合わせた額になります。

保険適用開始前の申請では

ちなみに私のスペックは、①健康保険資格は継続中、②駐在者帯同、③日本に住民票無し、です。

以前申請してみたところ、保険適用が始まる前のタイミング法の治療で、払い戻しを受けることができました(⇒記事はこちら)。

ただし、2021年当時はフェマーラ(レトロゾール)が日本の保険適用外で、海外療養費制度による還付から除外されました。

今回は人工授精や体外受精といった不妊治療の保険適用開始後人工授精について申請してみました。

給付金請求した内容は

2023年、日本で保険適用が始まった後の人工授精の治療で、5回の通院でした。

  • <投薬・卵胞期>レトロゾール、HMG注射150単位、hCG注射10000単位

  • <投薬・施術後>ビブラマイシン、デュファストン、プロギノーバ、葉酸

  • <検査>ベースライン血液検査(AMH, FSH, LH, プロラクチン, 風疹抗体, TSH)、超音波2回

  • <診察>診察1回

  • <施術>人工授精

海外療養費の申請方法は

申請方法は加入する健康保険によって変わります。

私の場合は会社員なので所属先の健康保険組合です。国民健康保険の場合は自治体になるかと思います。

  • 療養費支給申請書(日本語)×1枚

  • 健保組合指定の診療内容明細書(英語・医師が記入と署名)×1枚

  • 領収書(1枚ずつ翻訳文をつける。自分で翻訳してワード記入でOKでした)

領収書翻訳が面倒でしたが、テンプレートをつくり対応。

審査する人が保険適用の治療だと判断できるかがポイントなので、日本の診療明細を検索して参考にしました。

支給対象とならなかったのは?

数か月後「支給決定書」が届きました。そこには「健康保険適用外と判断した処方薬、検査費を除く費用に対して給付金を支給」とありました。

保険適用外と判断されたのは...

  • <投薬・施術後プロギノーバ葉酸

  • <検査>ベースライン血液検査(AMH, FSH, LH, プロラクチン, 風疹抗体, TSH)

葉酸サプリが保険適用でないのは、想定通り。

想定外なのは、黄体ホルモン(プロゲステロン)補充のデュファストンはOKだけど、プロギノーバ(エストラジオール)は保険適用と判断されませんでした。

厚生労働省のサイトを見てみると、エストラジオール経口薬が保険適用となるのは、「体外受精の胚移植時」か「卵巣刺激の開始時期調整」のようです。

(厚生労働省 Webサイトより)

人工授精は日本も含めて初めてで、日本の病院で黄体期にどういう薬が処方されているのか、よく知らなかった部分でもあります。

ベースライン血液検査は、風疹ウイルス抗体が保険適用外?AMHは微妙?(体外受精の卵巣刺激時のみ保険適用?)

FSH、LH、TSH、プロラクチンは保険適用のはずだけど、自費検査と混ざってるからNGなのか、人工授精だから血液検査はNGという判断?

このあたり、日本でもクリニックによって少しずつ違うようではっきりしません。

しかし、自費とされた薬や血液検査が存在していても、人工授精の全てが自費になるわけではないことが分かりました。

還付された金額は

全体でかかった費用が日本円で62,800円(為替レートは健保組合が決めるがちょっと納得いかない😂w)。

このうち先述の適用外となったのが、15,500円。

それ以外の処方薬、超音波検査、診察料など制度の対象となった医療費は合計47,300円、うち3割負担で14,190円健康保険による給付(7割)が33,110円でした。

この33,110円が健保から振り込まれました。

さらに、私の会社では外国で勤務する社員向けに、医療費を補助する制度があり、3割負担でなく2割負担になるようにプラスアルファの差額支給がありました(+4,730円)。

ということで最終的に...

人工授精1サイクル全体でかかった費用62,800円のうち、自己負担額は24,960円でした。

日本で保険で治療するよりは少し高いですが、許容範囲かとは思います。

(海外療養費支給額まとめ)

もちろん毎月健康保険料の支払いがあるわけですが、入っている民間の医療保険(駐在者向け)が不妊治療は対象外なので、とてもありがたいです。

まとめ

2022年度から菅政権によって開始された不妊治療の健康保険適用。

駐在に帯同という事情で海外で不妊治療を行う場合でも、海外療養費制度を使って、医療費の還付を受けることができました。

  • 人工授精も海外療養費制度の対象に

  • 健康保険適用外と判断される薬・検査があっても全てが自費になるわけではない

  • おそらく体外受精も対象と考えられる!

どなたかのご参考になれば嬉しいです。

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