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今回はアジア人女性vs白人の子宮内膜症有病率と体外受精の結果への影響について調べた Yamamoto et al. (2017)です。
結論
- 体外受精治療を受けている患者で、子宮内膜症の有病率は、白人女性よりもフィリピン人、インド人、日本人、韓国人女性の方が高い。
- ただし、子宮内膜症の有無は、体外受精の臨床妊娠率の差に影響を及ぼさなかった。
背景・データ
子宮内膜症の女性では、体外受精(IVF)の成功率が低下するという報告もあれば、より重度な場合にのみ当てはまるとする研究もあります。
論文は、カリフォルニア大学サンフランシスコ校リプロダクティブ・ヘルスセンターで、2008~09年に体外受精を受けた全患者1011人のカルテを用いた、後ろ向きコホート研究です。
新鮮胚移植かつ、人種/子宮内膜症の有無が分かるものが対象になりました。
結果
一方、黒人、ヒスパニックなどは、白人と比べて大きな違いはありませんでした。
国別でみると、フィリピン人、インド人、日本人、韓国人の女性は、白人女性と比較して子宮内膜症を患う確率が有意に高くなりました。
この理由について他の研究では、遺伝的な要因や幼少期からの大豆摂取が多いことが指摘されています。
しかしながら、子宮内膜症の影響を調整した後でも、インド人、日本人、韓国人女性では妊娠率は低いままでした。
つまり、子宮内膜症の有病率が高いことが、アジアの女性が白人女性に比べてIVFの妊娠率が低いことの唯一の説明にはならないことになります。
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(アジア人患者の子宮内膜症有病率と体外受精の妊娠率) |
また、子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)がある場合も、体外受精での妊娠率には大きな影響がないという結果でした。
ただし、嚢胞が成功率に「悪影響を及ぼす」「影響はない」とする両方の報告があって、見解は一致していません。
アジア人女性の体外受精成功率が低い要因もはっきりしていません。
子宮内膜症が、アジア女性の間の体外受精妊娠率の低さにどの程度寄与しているか、大規模前向き研究でさらに明らかにする必要があると、筆者らは結んでいます。
感想
だから日本の大学病院で、体外受精優先とされたのかなと。先生の判断にお任せするしかない...(嚢胞の大きさ、症状、年齢、低AMHも、勘案されてると思う)
いま住んでるB国の先生には「腹腔鏡下手術したほうがいい」と言われてしまい😓
とにかく、まだまだ子宮内膜症はミステリーなんだなと思いました。
*ブログ筆者は英語圏で社会科学系の修士号をとっていますが、医療従事者等ではありません。統計学、論文の書き方、英語の勉強を兼ねています。
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